9月1日は防災の日。災害時に会社が「つながる」ための3つの備え

9月1日は防災の日。備蓄品や避難経路の確認とあわせて、ぜひ見直したいのが「会社の連絡手段」です。地震や台風などの災害時、事業を止めない最初のカギは、社員と連絡が取れること、そしてお客様や取引先とつながり続けられること。本記事では、中小企業がまず押さえておきたい「つながるための3つの備え」を、防災の日の点検リストとともに解説します。

目次

災害時、オフィスでは何が起こるのか

大きな災害が起きたとき、オフィスで最初に直面するのは「連絡が取れない」という壁です。

災害直後は安否確認の電話が全国から集中し、電話回線がつながりにくくなる「輻輳(ふくそう)」が発生します。過去の大規模災害でも、通信各社が通信を制限し、電話がほとんどつながらない状態が続きました。停電が起きれば、社内の固定電話やネットワーク機器、Wi-Fiも止まります。つまり「いつもの連絡手段」は、災害時にはあてにできないと考えておく必要があります。

社員の安否がわからない、お客様からの連絡を受けられない、取引先に状況を伝えられない──この状態が続くほど、事業の再開は遅れます。裏を返せば、「つながる備え」こそが事業継続(BCP)の第一歩です。

備え①:安否確認の手段とルールを決めておく

まず整えたいのが、社員の安否確認です。安否確認システムやビジネスチャット、災害用伝言サービスなど手段は複数ありますが、道具選びと同じくらい重要なのが「ルール」です。

ツール任せにしない「発信ルール」の決め方

災害時に機能する安否確認には、次の3点をあらかじめ決めておくことが欠かせません。

第一に「誰が起動するか」。震度いくつ以上なら自動発信か、担当者が手動で発信するのか。担当者自身が被災する可能性も踏まえ、代理者まで決めておきます。

第二に「何を報告するか」。本人と家族の無事、出社の可否など、報告項目は少なく・簡単に。災害時に長い入力はできません。

第三に「返信がない人への対応」。いつまでに、誰が、どの手段で再確認するのかを決めておきます。年に1回は訓練として実際に発信し、回答率を確かめておくと安心です。

備え②:通信手段を1本に依存しない

「固定電話がだめでも携帯があるから大丈夫」とは限りません。災害時は携帯電話も輻輳しますし、停電が長引けば基地局が停止する地域も出ます。ポイントは、性質の異なる通信手段を組み合わせておくことです。

固定・携帯・ネットが同時に使えなくなったら

たとえば、音声通話がつながらなくても、データ通信(インターネット)は比較的つながりやすい傾向があります。ビジネスチャットやWeb会議など、データ通信ベースの連絡手段を平時から業務に組み込んでおけば、災害時にもそのまま使えます。

また、電話環境をクラウドPBXにしておくと、会社の代表番号への着信を社員のスマートフォンで受けられるため、オフィスに入れない状況でもお客様からの電話を取り逃しません。オフィスの電話機や主装置が停電・被災で使えなくても、番号が「クラウド側」で生きていることは大きな安心材料になります。ただし、スマートフォンで受けるには、モバイル回線などインターネット接続が使えることが前提です。

このほか、モバイルルーターの備蓄や、通信キャリアの異なる回線の併用など、自社の規模に合った多重化を検討しましょう。

備え③:データを守る=事業を守る

連絡が取れても、業務データが失われていては事業を再開できません。サーバーやパソコンが水没・破損する事態に備え、バックアップの基本形「3-2-1ルール」を押さえておきましょう。データのコピーを3つ持ち、2種類の異なる媒体に保存し、そのうち1つはオフィスから離れた場所(クラウドや遠隔拠点)に置く、という考え方です。

特に「1つは離れた場所に」が防災の観点では重要です。オフィス内に外付けハードディスクを置いているだけでは、火災や水害でサーバーごと失われるおそれがあります。クラウドバックアップを組み合わせれば、この弱点を低コストで補えます。あわせて、「バックアップから本当に復元できるか」を年1回はテストしておきましょう。

なお最近は、ランサムウェア対策として『1つはオフライン(ネットワークから切り離した状態)で保管し、復元テストでエラーゼロを確認する』という項目を加えた『3-2-1-1-0ルール』も広まっています。既に3-2-1ができている企業は、次のステップとして意識してみてください。

「作って終わり」にしない──防災の日を点検日に

備えは、作った瞬間から古くなり始めます。組織変更で連絡網が変わった、新しいシステムがバックアップ対象に入っていない──こうしたズレを直す機会として、防災の日を「年1回の点検日」にすることをおすすめします。点検項目の例は次のとおりです。

 

●緊急連絡網は最新か(異動・入退社・電話番号の変更を反映しているか)

●安否確認の訓練発信を行ったか(回答率と、返信がない人への対応まで確認)

●バックアップは対象漏れなく取れているか(復元テストまで実施)

災害時の初動手順を新入社員にも共有したか(紙でも見られる状態か)

 

なお、こうした取り組みを「事業継続力強化計画」として整理し、国の認定を受ける制度もあります。認定を受けると、防災・減災設備への税制優遇や補助金の加点など中小企業にとって実利のあるメリットがあり、取引先への信頼性アピールにもつながります。BCPの本格的な文書化はハードルが高い、という企業の最初の一歩としても活用しやすい制度です。

神田通信機でご提案できるサービス・解決策もありますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

今回は、防災の日に見直したい、オフィスでの「備え」についてまとめました。2026年だけでもすでに日本各地で、地震、大雨、水害などが発生しています。単に避難訓練をして終わり、にとどめず、ツールのチェックやいざというときのシミュレーションを実施してみましょう。

最近は「防災ポーチ」「防災ボトル」といったコンパクトなものも販売されています。自分に必要なものを入れて持ち歩くようにしたり、オフィスに置いておくのも良いかもしれませんね。

 

参考:

総務省|安全・信頼性の向上|災害用伝言サービス

BCPはじめの一歩 事業継続力協会計画をつくろう|中小企業基盤整備機構

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